私たちの生活は、かつてないほど多様な人々と繋がり、関係性を築くようになりました。
しかし、この広がりが、私たちに大きなストレスを与えていると感じることはありませんか?
今回は、長谷川眞理子先生のお考えを参考にして、人間の進化の歴史を振り返りながら、現代社会における人間関係の課題、そしてストレスとの向き合い方について考えてみたいと思います。
人間関係の規模:進化と現代のギャップ
人類の祖先であるホモ・サピエンスが進化してきた道のりは、せいぜい数十人から150人規模の小さな集団の中で営まれてきました。

狩猟採集生活を送る中で、人々は顔見知りのコミュニティの中で暮らし、互いに支え合い、協力し合って生きてきたのです。
この「150人」という規模は、人間が直接的に維持できる人間関係の数、つまり「ダンバー数」とも関連していると考えられています。

遺伝子レベルで私たちの心に組み込まれている「付き合い方」は、この密で顔の見える関係性に最適化されてきたと言えるでしょう。
ところが現代社会ではどうでしょうか。
都市部に暮らせば、日々の生活の中で数千人規模の集団の中で過ごすことが当たり前になりました。
通勤電車や商業施設、オフィスや学校など、私たちは常に多くの見知らぬ人々と空間を共有しています。
さらに、インターネットやSNSの登場は、この人間関係の規模を爆発的に拡大させました。
X(旧Twitter)やInstagram、Facebookなどを利用すれば、数万人、場合によってはそれ以上の人々と繋がり、その言動に触れることになります。
遺伝子に組み込まれた付き合い方では対応できない?
この急速な人間関係の規模の拡大は、私たちの心に大きな負担をかけている可能性があります。
長谷川眞理子先生(総合研究大学院大学名誉教授)も、このような状況に言及されています。
私たちの遺伝子に組み込まれた、数百人規模の集団で培われてきたコミュニケーションや社会性の能力は、現在の数千人、数万人規模の人間関係に対応しきれていないのかもしれません。
見知らぬ人々の多さ、情報量の多さ、そして常に誰かと繋がっている感覚は、私たちの脳を休ませる暇を与えず、慢性的なストレスを生み出します。
その結果、漠然とした不安感、疲労感、不眠、そして精神的な不調へと繋がってしまうことも少なくありません。
これは、決して個人の「弱さ」ではなく、進化のスピードと社会の変化のスピードとの間に生じたギャップが引き起こしている問題なのです。
私たちはどうすればよいか?
では、この状況の中で、私たちはどのようにして心穏やかに、健やかに生きていけばよいのでしょうか?
いくつかのアプローチを考えてみましょう。
1. 「繋がらない時間」を意識的に作る
SNSやオンラインの繋がりは便利ですが、時には意図的に距離を置くことが重要です。
デジタルデトックスの導入: 定期的にスマートフォンやPCから離れる時間を設けましょう。
短い時間でも、デジタルな情報から離れることで、心はリフレッシュされます。
通知オフの活用:
不要なアプリの通知はオフにして、本当に必要な情報だけが届くように設定しましょう。
2. 「リアルな関係性」を大切にする
数百人規模の集団で培われてきた私たちの遺伝子が求めているのは、やはり「顔の見える」人間関係です。
少数の親しい友人との交流:
親しい友人や家族との直接的な交流は、安心感と心の充足感をもたらしてくれます。
コミュニティへの参加:
趣味のサークルや地域の活動など、少人数で継続的に交流できるコミュニティに参加してみるのも良いでしょう。
3. 情報の選択と取捨選択
膨大な情報が飛び交う現代において、情報の質と量を選ぶことはストレス軽減に直結します。
信頼できる情報源の選択:
フェイクニュースや不確かな情報に惑わされないよう、信頼できる情報源から情報を得ることを心がけましょう。
ネガティブな情報からの距離:
SNSなどで流れてくるネガティブな情報や、自分にとって不必要な情報は、意識的に見ないようにする選択も大切です。ミュート機能なども活用しましょう。
4. 自分自身の感情に目を向ける
ストレスを感じているサインを見逃さないことが重要です。
マインドフルネスや瞑想:
自分の呼吸や体の感覚に意識を向けることで、現在の状態を受け止め、心を落ち着かせることができます。
十分な休息と睡眠:
心身の健康を保つためには、質の良い睡眠と十分な休息が不可欠です。
専門家への相談:
どうしてもストレスが解消されない場合や、精神的な不調が続く場合は、心療内科やカウンセリングなどの専門機関に相談することも検討してください。
現代社会の人間関係の広がりは、私たちの進化の歴史から見ると非常に新しい現象です。
遺伝子レベルで組み込まれた私たちの「付き合い方」と、現代社会が求める「付き合い方」の間にギャップがあることを理解することは、ストレスを軽減するための第一歩となります。
無理にすべての人と繋がろうとせず、自分にとって心地よい距離感を保つこと、そして自分自身の心の声に耳を傾けることが、これからの時代を健やかに生きるための鍵となるでしょう。
<感想>
SNSアプリやゲームアプリ業界は、ユーザーをスマホ中毒にさせて、そこから抜け出せないような工夫をしています。
麻薬中毒の構造とよく似ています。
スティーブ・ジョブズもザッカーバーグも瞑想を好み自分自身を保つようにしていました。
デジタル産業の頂点に立つ人たちがデジタルデトックスを積極的に行っていたのです。
元グーグル社員が教える「スマホ中毒」から抜け出す方法は、ホーム画面からすべてのアプリをなくしてしまうという方法でした。
youtubeやSNSなどをすぐに見ることができないようにするわけです。

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