最近、画期的な科学的発見や、全く新しいジャンルの映画・音楽に出会う機会が減ったと感じませんか？

実は、これは気のせいではないかもしれません。

科学論文からハリウッド映画の興行収入まで、様々なデータが「人類の創造性」が静かに、しかし着実に低下しているという、憂慮すべき傾向を示しているのです。

特に2026年以降、この「創造性の危機」は、ある要因によってさらに加速する可能性があります。

📉 知能は上がっているのに、創造性は低下している？

知能指数（IQ）の平均スコアが過去100年間で上昇し続けている「フリン効果」は有名です。私たちはより賢くなっているのです。

しかし、創造性を測る標準テスト「トーランス創造的思考テスト」のスコアは、1990年代以降、一転して低下傾向にあります。

特に2008年以降、そのペースは加速しているとされています。

この傾向は、すでに現実世界にも影響を与え始めています。

特許の創造性が低下:

新たな専門用語の出現頻度を指標にした分析で、特許の創造性が下がっていることが判明しました。

科学の「破壊的な影響力」の減少:

4,500万件の科学論文と390万件の特許を分析した研究では、過去の知見を土台に「少しずつ積み重ねる」研究が増え、分野全体の方向性を変えるようなディスラプティブ（破壊的）な発見が減少していることが示されました。

これは特定の分野だけの問題ではなく、物理科学、社会科学、生命科学など、あらゆる分野で同様の傾向が見られます。

私たちは、過去の発見の「隣接可能領域」を少しずつ広げる作業に集中しすぎているのかもしれません。

※トーランス創造的思考テスト＝単に知識や知能（IQ）を測るのではなく、一つの問題に対して多様で独創的な解決策やアイデアを、どれだけ多く、そして柔軟に生み出せるかを測る思考プロセスです。

トーランス創造的思考テストでGPT-4が人間の99%より高得点を取っています💦

🎬 映画も音楽も「続編・リブート」と「単純化」へ

大衆文化の世界でも、創造性の停滞を示す兆候が見られます。

ハリウッドの続編依存:

1981年、興行収入トップ10のうち続編はわずか2作品でしたが、2022年にはなんとトップ10のすべてが続編かリブート作品で占められました。

音楽の単純化:

50年間のポップソングを分析した結果、歌詞がより単純で反復する傾向にあることが発見されました。

また、チャートは既存のヒットメーカーに独占され、新人アーティストがランクインしにくくなっています。

🤔 なぜ創造性は失われているのか？

この複雑な問題には、いくつかの要因が指摘されています。

「自由な遊び」の減少と標準テストの増加:

子どもたちが自由に遊ぶ時間は減少し、学校では標準テストが増加。

この傾向が創造性のスコア低下の大きな原因とされています。

科学界の「成果主義」:

「論文を発表できなければ終わり」という文化が、短期的な成果を優先させ、真のブレイクスルーにつながる可能性のある、探究的な基礎研究の時間を奪っています。

📺 スクリーンタイムの増加:

過去10年間のデジタルデバイスの利用時間増加が、問題の悪化を劇的に加速させています。

🤖 2026年を転換点にするかもしれない「AI」の影響

そして、2026年以降の創造性の危機をさらに悪化させる可能性があるのが、「人工知能（AI）」の進化です。

最近の研究で、大規模言語モデル（LLM）が人間の創造性に与える影響が調査されました。

被験者がChatGPTの助けを借りて創造性タスクを行った後、AIの助けなしで同じタスクを繰り返したところ、創造性が低下する傾向が示されました。

具体的には、被験者のアイデアが多様性を欠き、より画一的になっていったのです。

AIは短期的なパフォーマンスを向上させるかもしれませんが、私たち自身の「想像力の飛躍」や「予期せぬつながり」を生み出す力を、無意識のうちに奪っているのかもしれません。

✨ 創造性の再獲得に向けて

この「創造性の危機」の流れを食い止め、反転させるには、まさに創造性そのものが求められています。

🟢子どもたちには、意図的に体系化されていない「自由な遊び」の時間を取り戻すこと。

🟢科学界では、短期的な成果だけでなく、破壊的な発見に繋がる探究的な基礎研究への投資を促すこと。

🟢て私たち一人ひとりが、AIに頼りすぎるだけでなく、自らの想像力を大胆に働かせ、予期せぬつながりを探求する勇気を持つことが重要です。

2026年、創造性の低下を目の当たりにするだけでなく、その流れを変えるための行動を起こす年にしたいものです。

参照：ワイアード

　　

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