お子さんにスマートフォン（以下、スマホ）を持たせるかどうか、いつから持たせるか、どのように管理すべきか——。

これは、多くの日本の保護者が抱える大きな悩みです。

兵庫県立大学准教授の竹内和雄さんが指摘するように、「親の知識」と「子供自身の判断力」の2つが、持たせるかどうかの基準になります。

しかし今、世界はこの問題に対し、日本とは全く異なる、より厳しい答えを選び始めています。

🏫 世界で加速する学校内規制と法規制

日本では、愛知県豊明市が使用を1日2時間に制限する任意のガイドラインを導入したことが大きな反響を呼びました。

一方、世界ではより厳しい法的規制が加速しています。

国名	規制内容	施行時期
フランス	15歳以下の生徒の学校でのスマホ使用禁止	2018年
ハンガリー	全国の学校でスマホ使用禁止	2024年9月
韓国	登校時にスマホを教師に預けることを義務付け	2026年3月
オーストラリア	16歳未満のSNSへのアクセスを禁止	2024年12月10日

ユネスコによれば、2024年末時点で世界の約40%にあたる79の教育制度が学校でのスマホ使用を制限しています。

世界は「子どもからスマホを切り離す」方向へと大きく舵を切っているのです。

⚠️ なぜ、世界は規制に動くのか？

この世界的な規制の動きの背景には、スマホが子どもたちに与える深刻な悪影響への警告があります。

1. タバコやドラッグ並みの中毒性

専門家は、ビッグテック企業がスマホ使用と脳内のドーパミン生成を結びつけることで、子どもたちを中毒状態に陥れていると警鐘を鳴らします。

強迫的なスマホ使用は、認知発達、学業成績、そしてメンタルヘルスを著しく阻害します。タバコやアルコールには警告ラベルがあるのに、神経損傷の可能性があるスマホには明確な注意喚起がない、という指摘もあります。

2. 増加する「デジタル自閉症」の警鐘

臨床心理学者からは、過度なスクリーン時間が認知発達を損ない、不安やうつを増加させ、「デジタル自閉症」と呼ばれる自閉症様の行動・発達遅滞のリスクを高めるという指摘も出ています。

子どもたちが週に40〜50時間もスクリーンに費やすと、遊びや実際の交流といった発達上重要な経験が失われてしまいます。

3. デジタル脅威と犯罪への勧誘

メンタルヘルスだけでなく、安全面も重大な問題です。

日本の警察庁の調査では、2023年に闇バイトで逮捕された人の4割以上がSNSを通じて勧誘されていました。

サイバーいじめ、詐欺、児童性的搾取といったデジタル脅威の被害は、10〜11歳という早い時期から始まっています。

✨ スマホフリーがもたらす希望

しかし、希望もあります。スマホ規制やスクリーンタイム削減を実施した学校では、目に見える改善効果が出ています。

• 学業成績と生徒の幸福度が測定可能なレベルで向上した。
• アイルランドでは、コミュニティ全体でスマホ所持をゼロにしたところ、生徒の不安レベルが大幅に低下した。
• ハンガリーの学校では、生徒、教師、保護者の幸福度が向上し、集中力や判断力も高まった。
• ハンガリーの学校でのスマホ禁止は、すでに生徒間の交流の増加やいじめの減少という成果を出し始めています。

💡 私たちが取るべき次のステップ

世界的潮流から見ると、日本の対策は「出遅れている」と言わざるを得ません。

法律やガイドラインの整備も重要ですが、私たち一人ひとりの保護者ができることがあります。

それは、子どものスマホ使用を可能な限り遅らせ、持たせる場合は「意識的な使用」を徹底することです。

世界の動きは、「学校から、そして幼少期からスマホを遠ざけること」が、子どもの健全な成長を守るための最善策である可能性を示しています。

この現実を真摯に受け止め、家庭内でのルール作りや、地域コミュニティでの取り組みを始めることが、今、日本に求められています。

　

　　

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