ベンジャミン・ハーディの著書『FULL POWER』に登場する、興味深いネズミの実験があります。

この実験は、私たちの集中力や依存症について、環境がいかに大きな影響を与えるかを鮮やかに示しています。
ネズミの実験から見えてくること
この実験では、2つの異なる環境でネズミが飼育されました。
孤独な環境:
ネズミを1匹ずつ個別のケージに入れ、普通の水とヘロイン入りの水を置きました。
驚くべきことに、ほとんどのネズミがヘロイン入りの水を選んで飲んだのです。
豊かな環境(ネズミパーク):
次に、たくさんのネズミを一緒にし、チーズが山盛りになった場所、楽しい遊具、探検できるチューブ、走り回れる広いスペースが用意された「ネズミパーク」のような環境で飼育しました。
ここでも普通の水とヘロイン入りの水を置いたのですが、結果は全く異なりました。
なんと、ほとんどのネズミが普通の水を選び、ヘロイン入りの水には手を出さなかったのです。
この実験結果は、私たちが何か特定の行動に「依存」しているように見えるとき、それが単にその対象物自体によるものではなく、その人が置かれている環境に大きく左右されることを示唆しています。
環境を変えることで、依存的な行動から脱却できる可能性を秘めているのです。
気が散るメカニズムと現代の誘惑
現代社会に生きる私たちは、情報過多の環境に常にさらされています。
特にスマートフォンは、ゲーム、SNS、ニュースなど、私たちを誘惑する要素でいっぱいです。
なぜ私たちは、気が散る行動に引き寄せられてしまうのでしょうか?
実は、私たちの脳には長い歴史の中で培われた、ある巧妙なメカニズムが備わっています。
人類が狩猟採集生活を送っていた時代、周囲に気を配り、新しい情報に気づくことは、生存確率を高める重要なスキルでした。
例えば、遠くで物音がすれば危険を察知できたり、新しい食料源を見つけたりすることができました。
そのため、私たちの脳は、ある行為を続けていると「気が散るように」促し、その結果として新しい情報に触れると「快楽物質」を分泌するようにプログラムされているのです。
スマートフォンのアプリやSNSは、まさにこの脳の仕組みを巧みに利用しています。
通知が来たり、新しい投稿をチェックしたりするたびに、私たちの脳はドーパミンなどの快楽物質を分泌し、それがさらにアプリやSNSへの依存を強化してしまうのです。
集中力を高めるための実践的なステップ
もしあなたが仕事や勉強に集中できず、スマホなどの誘惑に打ち勝てないと感じているなら、ネズミの実験が教えてくれたように、「環境」を変えることが非常に有効です。
スマートフォンの電源を切り、できるだけ遠い部屋に置きましょう。
物理的な距離を置くことで、無意識に手に取ってしまう衝動を抑えることができます。
集中する部屋から、最低限必要なもの以外はすべて取り払い、片付けましょう。 視覚的な刺激を減らすことで、気が散る原因を排除できます。
例えば、机の上にはノートパソコンや必要な書類、筆記用具だけを置くようにします。
私たちの脳は、気が散るように促し、その報酬として快楽物質を分泌するという仕組みを持っています。
しかし、本当に集中しなければならないとき、特に創造的な仕事や深い学習に取り組む場合は、これらの誘惑から「縁を切る」ことが不可欠です。
環境を整えることは、単なる我慢ではありません。
それは、あなたの脳が最も効率的に機能し、最高のパフォーマンスを発揮できる状態を作り出すための、積極的なアプローチなのです。

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