深刻化する人材不足と、その背景・対策を探る
近年、日本の医療現場で深刻化している看護師不足。日本看護協会が発表したデータによると、2022年の常勤看護師の離職率は11.8%、新人看護師の離職率は10.2%と、コロナ禍を経てさらに増加傾向にあります。
特に東京都では15.5%と全国平均を大きく上回り、個人病院に至っては17.6%という非常に高い離職率を記録しています。
なぜ、これほどまでに看護師の離職が止まらないのでしょうか?

離職kの背景にある「人間関係」と「負担増」
離職の背景には、主に以下の要因が挙げられます。
人間関係の悪化:
看護師という専門職においては、チームで連携して業務にあたるため、人間関係は非常に重要です。
しかし、職場内の人間関係の悪化が離職の大きな要因となるケースが少なくありません。
負担の増大:
看護師が辞めていくことで、残された看護師一人ひとりの業務負担は一気に増加します。
例えば、5人いた看護師のうち2人が辞めれば、残りの3人にそれまでの業務がのしかかり、心身ともに疲弊してしまいます。
これがさらなる離職を招くという悪循環に陥っているのが現状です。
実際に、2024年の調査では、看護師の38.1%が「スタッフが減った」と感じており、70.2%もの看護師が「辞めたいと思ったことがある」と回答しています。
病院規模と離職率の意外な関係性:
離職率を見ていくと、病院の規模によっても傾向があることが分かります。
公立病院の安定性: 一般的に、公立病院は公務員待遇であることも多く、比較的恵まれた労働環境にあるため、離職率は低い傾向にあります。
個人病院の深刻な実態:
しかし、前述の通り個人病院の離職率は非常に高く、これは多くの場合、看護師の人数が少なく、一人当たりの業務負担が大きいことが原因と考えられます。
99床以下の病院も高水準:
個人病院の次に離職率が高いのが、99床以下の小規模病院です。
病院の規模が小さくなる、つまり看護師の数が減るに従って、休暇が取りにくくなるといった実態が浮き彫りになっています。
看護師が充足していれば、シフト制でしっかり休暇を取ることができますが、人手不足だと「休みたい」と言い出しにくい状況が生まれてしまうのです。
看護師不足が引き起こす医療現場の危機
看護師不足は、単に個人の問題に留まりません。
病院全体、ひいては地域医療全体に深刻な影響を及ぼしています。
例えば、100床ある病院でも、看護師不足のために70床しか稼働できないといった事態も実際に発生しています。
これは、必要な医療を提供できないだけでなく、病院の経営にも大きな打撃を与えます。
対策は進むものの、新たな課題もこうした状況に対し、様々な対策が取られています。
タスクシフトの推進:
看護師の業務負担を軽減するため、看護助手や介護士など、他の職種へのタスクシフト(業務分担)が進められています。
これにより、看護師は専門性の高い業務に集中できるようになります。
給与の引き上げ:
看護師の待遇改善として、給与の引き上げも重要な対策の一つです。
労働条件の改善は、離職防止だけでなく、新たな人材確保にも繋がります。
しかし、新たな課題も生まれています。
近年では、病院の近くに大規模なショッピングモールなどができると、当初は時給が良いからと看護師が辞めてそちらで働き始める、というような現象も起こっています。
他のデータから見る看護師の現状:
日本医療労働組合連合会が2023年に行った「看護職員の労働実態調査」では、夜勤回数が多いことや、長時間労働が常態化していることも離職に繋がる要因として挙げられています。
特に夜勤は身体的・精神的な負担が大きく、連続夜勤や十分な休息が取れない状況は、看護師の健康を損ないかねません。
また、ワークライフバランスの重視が高まる中で、看護師も自身の生活やキャリアを考え、より良い職場環境を求める傾向が強まっています。
まとめ
看護師不足は、複合的な要因が絡み合う深刻な問題です。
人間関係、業務負担、給与、ワークライフバランスなど、多角的な視点から改善策を講じていく必要があります。
あなたの身近な医療機関では、看護師の皆さんがどのように働いていると思いますか?

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