「幼い頃から飛び抜けた才能を見せれば、将来は必ず世界のトップになれる」—これまでのエリート教育や英才プログラムは、この考え方を前提に進められてきました。

しかし、大規模な最新の研究が、この長年の常識に真っ向から異を唱えています。

RPTUの研究チームによる分析は、ノーベル賞受賞者、オリンピックメダリスト、世界的な音楽家など、成人期に世界の頂点に立った人々の発達パターンを徹底的に調べたものです。

その結果明らかになった、私たちが抱く「才能」や「成長」に関する誤解と、真に世界トップを生み出す鍵について、平易に解説します。

🤯 衝撃の事実：若年トップと成人世界トップはほとんど別人

この研究の最も衝撃的な発見は、以下の点です。

1. 「神童」がそのまま「頂点」に立つわけではない

若年期に非常に優秀だった人（神童や若年トッププレイヤー）と、成人期にその分野の世界トップに到達した人は、ほとんどが別人だったのです。

チェスの例：

若年期に世界トップ10に入ったプレイヤーと、成人期に世界トップ10に到達したプレイヤーを比べると、なんと約90％が別人でした。

これは、単に途中で脱落する人が多いという話に留まりません。

若年トップ層と成人世界トップ層は、そもそも異なる発達の道筋をたどっていたと考えられます。

2. 世界トップは若い頃に目立っていなかった

ノーベル賞受賞者、世界的音楽家、オリンピック王者の多くは、若い頃に同世代で突出した存在ではありませんでした。

研究では、「早く成績が高かった人ほど、必ずしも最終的な頂点に到達していない傾向が見られた」と報告されています。

👉 結論：

若い頃に早くから目立つこと自体は、最終的な頂点に到達するかどうかを正確に示す指標ではない、という傾向が、科学、音楽、スポーツ、チェスといった分野を超えて共通していたのです。

🔑 世界トップの共通点：「遅い専門化」と「多分野の経験」

では、真に世界の頂点に到達した人々は、若い頃にどのような特徴を持っていたのでしょうか？

彼らの発達パターンには、若年トップ層とは真逆の傾向が見られました。

特徴	若年期に高成績を示した人（従来の育成モデル）	成人期に世界トップへ到達した人
専門化	初期から単一分野に集中し、他分野の経験が少ない	若い頃に複数の分野を経験し、専門化は比較的遅い
成長スピード	初期に急速な成長を示す傾向	成績の伸びは比較的緩やか

成人期に成功した人々は、焦って一つの分野に絞り込むのではなく、若い頃に多様な経験を積んでいました。

🌱 この研究が示す、新しい才能育成の視点

この研究は、早期教育や努力・訓練の価値そのものを否定するものではありません。

しかし、私たちに非常に重要なメッセージを伝えています。

1. 探索と適合の重要性

多様な分野を経験することで、「自分に最も適した分野」を見つけやすくなります。

早期に単一分野に閉じこもるのではなく、探求する時間が、長期的な成功の土台となる可能性が高いのです。

2. 長期的な成長に焦点を当てる

本当に世界トップを生む鍵は、「早く結果を出すこと」ではなく、その分野に「長期的に適合し、成長し続けられる発達の道筋」にあります。

教育や才能育成の現場では、短期的な成績だけで若者の可能性を狭めるのではなく、より長い時間軸で成長を支える視点が求められます。

才能は「早く咲くか遅く咲くか」で価値が決まるものではありません。

大切なのは、時間をかけて着実に、そして情熱を持って成長し続けられる道筋を見つけることなのです。

出典：ナゾロジー

👄ひとこと

能力の60％は遺伝で決まるというという最新の研究では、子どもには色々なことをさせてあげて、子どもが気に入ったことをバックアップしていくのが良いということでした。

音楽や将棋などの世界では、神童がそのままその世界のトップになるということがありそうな気がしていましたが、そうではなかったということですね。

驚きました。

ということは、幼少期に神童と呼ばれた人たちがその才能を維持できなかったということなのでしょうか。

それはそれで悲惨なことですね💦

　

　　

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