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『スマホ脳』はマジで恐ろしい

スウェーデンの精神科医 アンデシュ・ハンセン著

人間の脳はデジタル社会に適応していません。

スウェーデンでは、大人の9人に1人が抗うつ剤を服用しています。
多くの国でも同様の傾向が見られます。

私達を取り巻く環境と人間の進化の結果が合っていないのです。

目次

1.人類は現代に適応できていない

 原始時代
 「茂みの中で音を立てているのは危険なものかもしれない。すぐに見てみよう。」
 このような人は、危険を回避しやすいので、生きのびやすいのです。

 現代
 常に破滅を想定する性格は心を病んで、うつや恐怖症になってしまいます。
 子供の場合はADHD(注意欠如・多動性障害)の診断が下ることになります。

 今、私達が暮らす世界が、人間にとって非常に異質なものになっていることを示しています。
 私達を取り巻く環境と、人間の進化の結果が合っていないことが、私達の脳と心に様々な問題を発生させているのです。

 人類は、地球上に現れてから99.9%の時間を狩猟と採集をして暮らしてきました。
 私達の脳は、今でも当時の生活様式に最適化されているのです。
 脳はこの1万年間変化していない ― それが現実なのです。

2.スマホは私達の最新のドラッグである

 私達はなんと1日に2600回以上スマホを手にとっています。
 見渡すと、誰もがスマホをじっと見つめています。誰もがスマホに依存しているのです。

 なぜそんなに依存するのでしょうか。

(1)スマホは人間の本能をハッキングする


 スマホは、人間の生き延びるための本能を悪用するのです。

 進化の観点から見れば、人間が知識を渇望するのは不思議なことではありません。
 周囲をより深く知ることで生存の可能性が高まるからです。
 
 その結果、人間は、新しい情報を探そうとする本能を獲得したのです。
 新しい情報を得ると、ドーパミンが分泌されるようになりました。

 現代の人の脳も昔と同じで、新しいものへの欲求が強く残っているのです。
 そして、スマホから新しい知識や情報を得るたびに、ドーパミンが分泌されるのです。
 その結果、どんどんクリックするようになっていきます。
 そのたびにドーパミンが分泌されていきます。

スマホやタブレットの恐ろしさを一番知っている者

 iPadを作ったスティーブ・ジョブズは、自宅ではiPadをそばに置かず、スクリーンを見る時間を厳しく制限していたとインタビューに答えています。
 さらに、自分の子供にはiPadを触らせなかったのです。

 人間の脳をハッキングしてデバイスを作った側の人間は、その危険性をよく理解していたわけです。

スマホに依存すると何が起こるのか

集中力が低下します。

 「スマホをサイレントモードにしてポケットにしまったら問題ないのではないですか?」
 「いえ、問題ありです。」

 <大学生500人の記憶力と集中力の調査>

 スマホを教室の外においた学生方が、スマホをサイレントモードにしてポケットにしまった学生よりよい結果を出しました。
 スマホがポケットに入っているだけで、集中力が阻害されるのです。

 <800人にコンピューター上で集中力を要する問題をやらせる調査> 
  スマホを教室の外においた学生方が、スマホをサイレントモードにしてポケットにしまった学生よりよい成績を得ました。
 
 脳は弱る ― スマートフォンの存在がわずかでもあれば、認知能力の容量が減ります。

 あなたが集中したいと思った時は、スマホを遠ざけるということが絶対に必要になってくるわけです。
 近くにスマホがある状態で集中的な勉強や仕事なんてできるわけがないということを肝に銘じましょう。

3.デジタル時代のアドバイス

1.自分のスマホ利用時間を知り、制限する

  1)利用時間を見る方法
     iPhone  設定>スクリーンタイム ※スクリーンタイムをonにしておきましょう。
    Android 設定>Digital Wellbeing ※円グラフをタップすると他の日の利用時間も見ることができます。
    毎日2時間スマホをオフにしましょう。(周りの人にその事を伝えておきましょう。)
    ※一定時間経つとスマホが操作できなくなるアプリもあります。

  2)プッシュ通知をすべてオフにしましょう。

  3)スマホの表示をモノクロにしましょう。
    色のない画面のほうがドーパミンの放出量が少ないので、スクロールを続けたいという欲求がより少ないためです。

2.スマホを物理的に遠ざける

  集中力が必要な作業をする時は、スマホを手元に置かず、隣の部屋に置いておきましょう。
  友だちと会っている時は、スマホをマナーモードにして少し遠ざけておき、一緒にいる相手に集中しましょう。
  ※電源を切っておくと、「SNSを見るには電源を入れなければならない」ということが障害になって、スマホの誘惑から逃れやすくなります。すぐチェックできないという障害を複数設けておくと良いでしょう。

3.チェットやメールをチェックする時間を決める

 LINEやメールが気になってしまうから、勉強していても仕事をしていても、ことあるごとにスマホを手にとってメッセージをチェックしてしまう。
 集中力が細切れに分断されてしまうために、LINEのメッセージやメールをチェックする時間を事前に決めておきましょう。
 例えば、昼食時と夕食時にメールやSNSをチェックするなどです。

4.デバイスの画面をシロクロにする

 設定の仕方

 iPhone

 まず「設定」を開き、「アクセシビリティ」→「画面表示とテキストサイズ」→「カラーフィルタ」の順に進む。そして「カラーフィルタ」を有効化すると、「グレイスケール」が選択肢のいちばん上に表示されるので、それを選択します。

 Android

 まずは「設定」→「システム」→「端末情報」と進み、「ビルド番号」を7回タップして、端末の開発者モードを有効にする必要があります。 それから「システム」メニューに戻ると、「開発者向けオプション」という選択肢が新たに表示されているはずです。 そこから「色空間シミュレート」の「全色盲」を選択すると、グレースケールに変更できます。

 色のない画面のほうがドーパミンの放出量が少ないです。
 それによって、どのくらいスクロールを続けたくなるかが大きく左右されます。

5.寝るときのスマホの取り扱いに注意する

  ・寝る時はスマホやタブレット端末、電子書籍リーダーの電源を切りましょう。
  (少なくともベッドに入る1時間前には切るようにしましょう)
  ・寝る直前に仕事のメールを開かないようにしましょう。
  ・スマホを寝室に置かないようにしましょう。
  (あなたが少しでも眠れないと思うなら、置かないほうがよいでしょう)
  ・そのためには、朝起きるための目覚まし時計を買いましょう。
  (スマホで目覚ましをかけるのはNGです)

6.ストレスの対処法を知っておく

 一番良いストレス対処法は、心拍数を上げる運動をすることです。
 脳から見れば、ただ散歩するだけでも驚くほどの効果があります。
 とにかく大事なのは運動をすることです。(それで心拍数が上がればなおよい)
  
 できれば週3回45分、できれば息が切れて汗をかくまで運動をするとよいと筆者言っています。

 こんな実験を実施しました。
 不安になりやすい大学生を2グループに分けて、片方にはきつめのランニング20分を週に3回行い、他方には散歩を20分を週に3回行いました。
 どちらのグループも不安の軽減の効果が現れました。
 特に、ランニングをしたグループは、運動後1週間たっても不安の軽減の効果が続いていました。

 世界保健機構(WHO)によれば、「現在、10人に1人が不安障害を抱えている」ということです。

 700人を対象とした15件の研究によると、次のような結果が得られました。
 ・運動やトレーニングをすることで、不安から身を守ることができる。
 (心拍数の上がる運動によって最大の効果を得られるということが分かっています)

SNSの取り扱い

  SNSは積極的に交流したいと思う人だけをフォローしましょう。
  スマホからはSNSをアンインストールして、パソコンでだけ使うようにしましょう。

感想

 スマホ脳の恐ろしいところは、生き延びるための本能をスマホが利用しているというところです。
 たとえば、人類は生き延びるために、連続して「集中」しないように、「まわりを警戒しろ」「あちらこちらを常に見ておけ」という指令を出します。
 人間が「集中」しだすと、「気が散る」ように仕向けるわけです。
 そして、「気が散る」と、ごほうびとしてドーパミンが放出されるので気持ちが良くなります。
 もっとドーパミンを放出してほしいので、どんどん気を散らそうとするため、生き延びることができました。
 野生動物の動画で、ビビりながら川の水を飲んでいる草食動物の隣で、メッチャ集中して水をがぶ飲みしているやついると、「あー、死亡フラグが立ってんなー」と思います。だいたいそいつはワニに食われてしまうからです。
 身を守るために備わった「気を散らせる」という本能を、スマホはきっちり利用して、スマホの画面をスクロールするたびにドーパミンを放出させ、さらにスクロールをさせ続けるわけです。
 原始の時代には、身を守るための本能が、現代では勉強や仕事に集中できない害悪となっているのは恐ろしいことです。
 さっそく、僕もスマホからほとんどのアプリを削除し、シロクロ画面にし、別室に置くようにしてみました。
 寝入りばなは電子書籍リーダーもダメというのはちょっと残念でした。
 ベッドの中で本を読みながら寝るというのが楽しみだったからです。
 とりあえず、実験ということで、スイッチオフにいたします。

 以前ご紹介いたしました、「ポモドーロテクニック」で、25分や5分のカウントができるアプリをおすすめいたしましたが、撤回させていただきます。
 勉強中に、目の前にスマホを置いておくだけで、脳の処理機能の10%が失われるということでした。
 「あ、スマホがある!使いたい!」
 「いーや、だめだ!使うな!」
 という葛藤が無数に起こっており、能力が著しく低下するようです。
 僕は、ポモドーロ用タイマーを購入しました。
 スマホは別室に置いておきます。