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スタンフォード式!”子どものやる気”の育て方

心の三大欲求を満たすことが大事

星 友啓 × 高濱 正伸

「飯が食える大人に必要なものって何?」
という質問を頂いていたので、なんて応えようかと考えていたのですが、
「メシが食えるために働こうとしないこと?」かなと。
メシを食うってことのためだけに働いていたら幸せになれないと思います。
先進国の中で生活していて、毎日ご飯が食べられる状況にあった時に、
問い直すものは、「生きがい・幸せ」を見つけられるかということだと思います。
その部分を持ちながらどう働けるかということになるんじゃないかと思います。

21世紀に入って主流となってきた心理学の考え方の一つに、「心の三大欲求」というものがあります。
心の三大欲求」とは、
①つながり 人に会える
②有能感 できたという感覚
③自主性・自発性 自分自身に基づいて行っている
これらを人間の脳は欲しているのです。

これらをいかに子供の前に出してあげられるかが大事です。

例えば、
①周りのみんなと一緒にできるものとか、
②できる!」と思えるものとか、
③誰かからコントロールされていないことなどです。

日本の教育は、
一人で部屋にこもらせて(つながりの否定)
なかなか解けない問題を解かせて(有能感の欠如)
勉強の量や時間は大人がコントロールして(自主性・自発性の否定)
という風に、三大欲求のどれも満たしていないのが問題です。

さて、話を戻すと、
三大欲求をいかに自分で満たせるような力をつけられるかが大事だと思っています。

子供には、

プライジング=子供を尊いものととみなすこと
       何かがよいからではなくて、
       存在自体が尊いと認めること
       ありのままの自分を認めること
       自己肯定感が増す

ディスタンシング=悲しくなったときなどに、一旦外から自分を眺めるようにしてみること。

などが有効です。

「どうやったら勉強が好きな子になりますか?」と聞かれることがあるけれど、
9割方親が子供を勉強嫌いにさせているんですよね。
子供にとって「知りたい」という欲求は自然に湧いてくるものです。
子供は学びたいに決まっています。
それを親は「学びなさい」「勉強しなさい」「成績を上げるように」と外評価に合わせるように強制してしまいます。
すると、子どもはやらされている感が強くなり、勉強が面白くなくなってしまうのです。

「勉強って面白いに決まってるやん」と親が自信を持って言ってやってほしいですね。


ただし、勉強が受験のためとなってくると、どうしても点数に目を向けさせられてしまうようになってきます。
それを長期的に繰り返すといろいろな問題が起きてくるわけです。

最近学習の悩みで「やる気というのがない」というのがあります。


この悩みに外発的な動機付けをしていった時に、どうやって内発的なものを取り戻すかについて、簡単なエクササイズがあります。
心療内科などで使っているものです。


心療内科に外来で来た子について、親が、「この子、もう何もやりたがらないんですどうしましょう?」というわけです。
そういう時に、「お父さんお母さん外に出てもらっていいですか?子供さんとちょっと話をしますので。」と言って心療内科の医師と子供だけになります。
そして、最初に医師が聞くことは「水にする?ジュースにする?」です。
そこから治療が始まっているわけです。
水にする?ジュースにする?」と聞かれた時に、本当にやる気のない子は答えられないのです。
なぜかというと、それまでに、自発性を殺すようにコントロールされている中で生きてきたので、自主性を感じるというところを忘れているわけです。
ですから、二者択一でいいので、「水にする?ジュースにする?」などから少しずつ選ばせるようにしていきます。
2つから1つを選ぶので簡単です。
これを3つ4つと増やしていき、最後に「何にする?」と問うようにしていきます。
つまり細かい自己決定を作らせてあげるということが大事です

このようなことが治療で使われている方法なのですが、これを子育てにも利用して行けばいいと思います。

例えば、読ませたい本があった時に、そういう本を3冊ぐらい手にとって、「どれにする?」と聞いてあげれば、たいてい「これにする」と決めてくれるものです。
決めたものはすでに愛着が湧いているから読み始めるんです。

選ばせるというのが一歩目というのは本当に大事だと思います。