忙しくてもオンライン授業で合格へ!
安心の授業料はこちら

核融合発電

核融合発電が2035年に実用化されるかも

我々の世界は、電力がないと成り立ちません。
スマホもパソコンも照明も冷蔵庫も使えなくなります。
日本における発電事情は、ざっくりですが、火力発電が7割、再生可能エネルギー(風力・太陽光など)が2割、水力が1割弱、原子力が若干という感じです。
火力発電には原油が必要です。
ところが、日本では東北や北海道で少量採掘されますが、雀の涙です。

我が国のエネルギー自給率は12%程度で先進国の中で最も低いです。
エネルギーの輸入額は100超円以上に上ります。
GDPがおおむね500兆円ですので、5分の1がエネルギーの費用に当てられています。
エネルギーを輸入しなくていいのなら、企業の収益は20%増え、国民も電気代等がめちゃくちゃ安くなることになります。
毎月、数千円から1万円以上支払っていた電気代が安くなるわけです。

核融合発電は、海水を原料として、小さな太陽(熱源)を作り出す技術です。
そういう意味では原子力と似ています。
原子力発電は、原子を分裂させて熱源を作ります。
しかし、原子力は核分裂作用なので勝手に分裂が連鎖し、コントロールが難しいし、プルトニウム239の半減期は24000年です。
半減期は放射性物質の量が半分になるとい意味なので、10万年経てば、元の6.25%に減るということになります。
使用後のプルトニウムを10万年以上どこかに格納しなければなりません。
フィンランドのオルキルオト島の原子力発電施設では、地下400メートルに最終処分場を作り、100万年後も安全だと言っています。
日本は地震がありますので、そのような最終処分地は作りにくいと思われます。

核融合によって出てくる放射生物質は、中性子とトリチウムです。
中性子の半減期は15分。
トリチウムの半減期は12.3年です。
これは運用可能な数字です。

核融合発電が実現できたならば、低価格でエネルギー使い放題の世界が出現するわけです。

さて、2022年12月13日、アメリカのエネルギー省が、ローレンス・バリモア国立研究所が「核融合を発生させるために燃料に投入したエネルギーよリも多くのエネルギーを生成することに成功した」と発表しました。
アインシュタインの有名な公式である E=mc2 を実現したのです。
エネルギー=物質×光速の2乗 という公式です。
核融合によって、重水素と三重水素が結合し、ヘリウムができるのですが、その過程で質量が減った分がエネルギーとなるわけです。

物質×光速の2乗というわけですので、小さな物質であっても莫大なエネルギーに変わるわけです。

普通原子の結合は原子の外殻をまわっている(月のように)電子で結合するので、質量保存の法則により、くっついても質量は変わりません。
水素と酸素が結合して水になっても、水素と酸素の質量の総和が水の質量となります。

ところが、核融合では、1億度ほどに熱した環境なので、電子が飛び去ってしまい、原子核と原子核が直接融合します。

その事によって、質量の総和が減ることになり、減った分の質量がそれに見合った莫大なエネルギーに変わるわけです。

とりあえず、自国が海にさえ面していれば、重水素と三重水素がえられるので、核融合により無限のエネルギーが得られるということになります。

日本にとってはまたとない朗報です。

しかし、石油というエネルギーが発見され、商用化された過程を見返してみると、バラ色の世界が到来するという未来像は見ることが難しいと思わざる終えません。

石炭→石油→核融合

というエネルギー革命に突入する際には、メジャーと呼ばれる石油採掘大手を筆頭とする利権を独占している存在が、自分たちの存在が消滅することを恐れ、どのように政治に関与してくるのかが興味深い、というか恐ろしいです。

メジャーおよび他のエネルギー産業が、核融合に投資するのか、はたまた、核融合発電の進展を阻害する側に回るのか?
おそらく前者に落ちつくと思われるのですが、というより、そのような展開になることを願いたいです。

大阪大学の松尾一輝さんが、株式会社 EX-Fusionという核融合に関するスタートアップをされたことはすごいと思います。
核の温度を上げるのにレーザーを192箇所から照射する(歪にならないように)というマイナーな方法で挑んでおられますが、コスト面で優れており、株式が上場されることがあれば購入したいです。