
現代のオフィスで主流となっている「オープンプラン型(壁のない広いフロア)」。
コミュニケーションが活性化すると期待される一方で、「なんだか集中できない」「一日中オフィスにいると異様に疲れる」と感じたことはありませんか?
最新の脳科学的な研究によって、その「疲れ」の正体が明らかになってきました。
今回は、オフィス環境が私たちの脳に与える「見えないコスト」について解説します。
1. 実験:脳波で測る「集中力のコスパ」
研究チームは26人のビジネスパーソンを対象に、無線式脳波計を装着した状態で2つの異なる環境で作業をしてもらう実験を行いました。
🔵オープンプラン型:
仕切りがなく、周囲の会話や足音が聞こえる空間。
🔵ワークポッド:
電話ボックスのような、視覚・聴覚刺激を遮断した1人用個室。
読解や記憶などの知的作業を行い、「作業の開始直後」と「終了直前」で脳波がどう変化するかを分析したのです。
2. オープンオフィスでは、脳が「フル回転」を強いられる
実験の結果、オープンプラン型のオフィスでは、時間の経過とともに「ガンマ波」や「シータ波」が増加することが分かりました。
一見、脳が活性化しているように聞こえますが、実はこれには裏があります。
周囲の雑音や人の動きを脳が勝手に「情報」として処理してしまい、それを「無視するため」に余計なエネルギーを使い続けている状態なのです。
たとえるなら… 静かな図書館で本を読むのと、ガヤガヤしたカフェで本を読む違いです。カフェでは内容を理解するために、無意識に雑音をシャットアウトしようと脳が「無理」をしています。これが「脳のコスト」です。
3. ワークポッドがもたらす「脳の最適化」
一方で、個室型のワークポッドでは、時間の経過とともに脳波(ベータ波やアルファ波)が低下し、活動が安定していく傾向が見られました。
これは脳が環境に適応し「より少ないエネルギーで、同じパフォーマンスを維持できるようになった」ことを示唆しています。つまり、脳が省エネモード(高効率モード)に入り、目の前の課題だけにリソースを割けるようになったのです。
空間による脳の状態比較
| 項目 | オープンプラン型(開放型) | ワークポッド(個室型) |
| 主な脳波の変化 | ガンマ波・シータ波が増加 | ベータ波・アルファ波が低下 |
| 脳の状態 | 外部刺激の抑制にリソースを割く | 課題に集中し、効率化が進む |
| 疲労感 | 蓄積しやすい(脳のコスト高) | 抑えられやすい(脳のコスト安) |
4. 「空間設計」は「脳の負荷設計」である
この研究から得られる重要な教訓は、「集中が必要な仕事には、刺激を遮断できる選択肢が必要」だということです。
オープンプラン型が全面的に悪いわけではありません。雑談からアイデアが生まれることもあれば、チームの一体感を感じるメリットもあります。
しかし、複雑な資料作成や深い思考が必要なとき、私たちの脳は「静寂」という名のガソリンを必要としています。
これからのオフィス選びや働き方は、単なる見た目や効率だけでなく、「自分の脳にどれだけの負荷をかけているか」という視点で選ぶのが正解かもしれません。
あなたの職場には、脳を休ませ、作業に没入できる「逃げ場」はありますか?
もし「最近、仕事の効率が落ちているな」と感じたら、それはスキルの問題ではなく、環境による「脳のオーバーヒート」かもしれません。
短時間でも個室ブースを利用したり、ノイズキャンセリングヘッドホンを活用したりして、脳のコストを削減してみることをおすすめします。
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