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大地震!あなたのお住まいは安全ですか?

とても分かりやすい判定方法

福和伸夫氏(前日本地震工学会会長・名古屋大学名誉教授)は、abemaに出演し、安全な住まいの見分け方について以下のようにわかりやすく語っておられましたので、文字に残しました。

以下、福和先生のお話です。

一階の壁が重要

古い木造家屋のように一階部分に壁が少なく、柱だけで支えている家は地震に弱く、一階部分が潰れやすいです。
日本の木造家屋は、南側に壁が少なく、東西に壁が多いため、南北の揺れには強い反面、東西の揺れに弱いのです。


昔の木造家屋は、壁が少なく屋根が重いので倒壊しやすいです。
熊本地震では、1981年5月までに建築された家屋で無被害だった家屋はわずかに4.4%だったが、2000年6月以降に建てられた家屋で無被害だったのは55.4%であったのです。

現在の宅地は元々どんなところだったのか?

昔水田だった所や池であったところを埋め立てて建てた家は倒壊しやすいです。
昔から集落があった所は、地盤が良く、建物が倒壊しにくいのです。

(経験則で安全な場所を選んだんでしょうね。)
また、二階建てよりも平屋のほうが強く、屋根が軽いほうが強いです。
そして、建物の強度よりも、地盤の強さが重要です。
日本の耐震基準は最低限守らないといけないことしか定められていないのです。
柔らかい地盤はよく揺れ、硬い地盤はあまり揺れなません。
しかし、両地盤とも同じ最低限の基準で建築されます。
弱い地盤に建てられた家屋は、建物の壁を増やして強化するか、屋根を軽くするなどの方法で対処できます。

タワマン

東京の埋立地に建てられたタワマンはについての評価はいろいろあると思いますが、私は嫌いです。
タワマンは、地盤が柔らかくて揺れやすいことについてはそれなりに考慮して設計しますが、それなりにという程度なのです。
そもそもタワマンは止めておいた方がいいと思います。
免震構造により大きく揺れるけれども折れないなどということはなく、折れることもあります。
タワマンの揺れは高さが問題ではなくて、地盤が揺れる周期とタワマンが揺れる周期がそれぞれあり、同調するとめちゃくちゃ揺れるのです。
それぞれの地盤によって、建ててはいけない高さの建物というのがあります。
地盤の揺れる周期をチェックしているかどうかが重要なのですが、地盤の揺れと建物の揺れが同調しないように設計されているとは思えません。
よっぽど大事な建物でない限り、そういうチェックはしません。
地盤が揺れる周期と建物が揺れる周期をチェックしていない建物の方が多いと思います。
そのようなチェックをすると、建物を作りにくくなるのです。

地震から身を守る工夫

耐震補強にはお金がかかるので、一部屋だけ改修するとか、最低限ベッドの上に天蓋を取り付けて、寝ている間に落下物でつぶされることを防ぐという方法もあります。

(福和先生のお話ではありませんが、枕元に靴を一足置いておくべきという意見もあります。地震被害にあった多くの場合、散乱したガラスで足を切り、身動きがとれなくなる事例が多いとのこと。)
ただし、昔ながらの集落の建物は、安全な地盤の上に建てられていることが多いのです。
僕は、東京には家を建てません。
危険だからです。
必要以上に人が集まるのもいけない気がします。
どうしても東京に住まなければならないのであれば、軟らかい地盤は選ばないです。
低い所も選びません。
それから傾斜地も選びません。
平らな台地の上を選びます。

危ない場所の特徴

山手も気を付けた方がいいです。
鉄道というのは、大体が谷を通っているからです。
昔は蒸気機関車で、煙は吐くし、火の粉も飛ぶし、うるさいので嫌われていました。
なので、人の住むところを避けて通るように線路が引かれました。
鉄道は坂道を上るのが苦手なので、平らな所を走るように路線が作られました。
ですので、鉄道の駅周辺というのは低い場所で、良く揺れる場所です。
国としては、デジタルを利用して、東京に住む人を分散させるように考えています。
賃貸に住んでいるのならば、より安全な場所に引っ越せばいいです。
高層ビルは地震時に揺れるが折れることはないというのは嘘で、地震でマンションが倒壊したことはもちろんあります。

どのような建物が安全なのか?

新しい戸建て住宅の方がマンションより強いです。
理由は簡単で、戸建て住宅は構造計算をせずに設計するんです。
構造計算をしないので、余裕を持った設計をしています。
過去の地震の経験に基づいて、壁をどれだけ多く入れるかという設計をしています。
過去に震度7を何度も経験しているので、それでも壊れないように経験的に作っているのです
科学を信じていないのです。
一方、ビルは構造計算をし、それに基づいて設計されています。
(つまり、法律違反にならない程度に設計されています)
みなさんは、安全面については、建築基準法さえ守っていればいいよねと、考えてはいませんか。

マンションの強さの見極め方

マンションでもちゃんと構造がしっかりしてさえいれば、リフォームやリノベーションをしながらかなり長く使えます。
ヨーロッパでは鉄筋コンクリートの建物をすごく長く使います。
日本ほどすぐにコンクリートの建物を取り壊す国は他にありません。
一般人が構造がしっかりしているかどうかを見分ける方法は、使い勝手が悪いかどうかです。
壁が多く、柱が太くてというような使い勝手の悪い建物は、構造がしっかりしています。
壁を抜いて部屋を広くするなどのリフォームは、絶対にやってはいけないことです。
2000年前の建築家のウィトルウィルスが、「強無くして用なし、用無くして美なし、美無くして建築ではない」と言いました。
強は強度、用は使い勝手、美は美しさです。
強、用、美を全部兼ね備えたものが良い建築なのです。
どうも私たちは、法律さえ守っていればいいという風に、強さのことを人任せにしているようです。
ですので、どんどん実力が下がっていっている可能性があります。
科学技術が進めば進むほど、強さを削っているかもしれません。
したがって、ちょっと強さのことを頭においていただくとよいかもしれません。