オルタナティブ教育

教育メディア「FQKids」編集長 征矢里沙
オルタナティブ教育とは?
近代以降の教育法じゃない教育のこと。
「オルタナティブ」=「別の」
近代以降の教育は平等に教育をして、国を強くすることが大事なテーマ。
オルタナティブ教育は、そうではなくて、子どもに寄り添って、一人一人が幸せになるためにどんな育ち方が必要かという観点から教育を考えるもの。
慶應義塾大学総合政策学部教授 中室牧子
学力経済学
子供の学力・最終学歴・卒業後の成果を分析して、幼少期から始まる教育の効果を調べる。
教育のお金のかけどころも分析する。
多くの人は、受験の直前が一番大事だと考えている。
そこにお金や時間をかけることが、子どもにとって一番利益があると考えている。
ジェームズ・J・ヘックマン(ノーベル経済学賞受賞)が、幼少期の「教育的な介入」が人生に与える影響について研究した。
その結果、幼児期の「教育的な介入」が非常に大切であることが分かった。
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征矢里沙
代表的なオルタナティブ教育の比較
モンテッソーリ教育
1907年 「子どもの家」設立
発祥の地 イタリア
日本の施設 700箇所以上
キーワード 自立、敏感期、「おしごと」
シュタイナー教育
1919年 最初の学校を設立
発祥の地 ドイツ
日本の施設 60箇所以上
キーワード 「からだ」「こころ」「あたま」の調和
自然素材、想像力
森のようちえん
1950年代
発祥の地 デンマーク
日本の施設 180箇所以上
キーワード 自然保育、自由遊び、体験
レッジョ・エミリア・アプローチ
1940年代
発祥の地 イタリア
日本の施設 数十か所以上?
キーワード 探求、創造、表現
モンテッソーリ教育
最初は知的障害を持ったこともの研究から始まり、当時、スラム・貧困層の子どもたちの教育を任された。
モンテッソーリが子どもの観察を通して発見した手法。
子どもたちの興味を利用した教育。
勉強ではなくて手(感覚)を使うことを大事にしている。
思う存分手を使ってできる道具を用意して、それをやらせたら、ひとりでに自分を自分で成長させて発達していくということに気がついた。
子どもが自分で自分の力を育てやすい時期を、モンテッソーリ教育では「敏感期」と呼ぶ。
秩序の敏感期、感覚の敏感期、数の敏感期など、特定のことに興味を持つ時期がある。
0歳から6歳の間にそれぞれの敏感期がある。
現時点がなんの敏感期なのかは一人一人違う。
なので、それぞれの子どもが個人作業をするのが特徴。
指導者は最初にやり方を見せて教えたら、その後は口を出さない。
カリキュラムはない。
シュタイナー教育
オーストリア出身のルドルフ・シュタイナーという哲学者が始めた。
最初は脳に障害がある子どもの家庭教師を引き受けた。
頭を使った勉強ではなく、手足を使った活動を行う。
シュタイナーは、人間の成長を7年毎に分けている。
0~ 7歳:体を育む時期
7~14歳:心を育む時期
14~21歳:頭を育む時期
性格のタイプ別に対応する
幼児を以下の4タイプに分け、
・怒りんぼうタイプ
・おっとりタイプ
・ほがらかタイプ
・繊細タイプ
そのタイプに応じた接し方をするようにしている。
一人の人間の中にこれらの4つの気質が存在するので、やがては4つのバランスが取れるように導いてゆく。
怒りんぼうタイプ
・主張が激しく、我が強い
・かんしゃくを起こしやすい
・カッとなると叩いたり蹴ったりしがち
・戦いごっこや勝負が好きで、負けず嫌い
・なんでも白黒をはっきりつけたがる
・早起きで、朝から元気
・眼力が強く、人をまっすぐに見る
・いったんやり始めると最後までやり遂げる
ほがらかタイプ
・表情がくるくる変わる
・好奇心旺盛ですぐにどこかに行ってしまう
・いつも手足が動いている
・気持ちの切り替えが早い
・人懐っこく、誰とでも気さくに話す
・「◯◯大好き~!」が口癖
・楽天的、楽観的
・すぐに新しいものを欲しがるが、すぐに飽きる
おっとりタイプ
・一つのことに長い間集中できる
・同じことを何度もくり返したがる
・のんびり一人遊びをするのが好きだ
・人に従いやすく、周りと衝突しにくい
・動きや話すスピードがゆっくりしている
・じっと待つことが苦にならない
・食いしん坊で、よく食べる
・たっぷり寝るのが好きで、ねぼすけ
繊細タイプ
・心配性で悲観的
・声をかけても、体がすぐに動かない
・過去のことをびっくりするほど覚えている
・服の着心地が気になってぐずることがある
・耳や鼻が良く、音や香りに敏感
・痛がりで、ちょっとのことでとても痛がる
・予定していた計画を変えるととても嫌がる
・ルールや決まり事は几帳面に守る
見かけでこの性質が強いと思った場合、本当はその反対が気質が強い。
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中室牧子
何歳から保育所に通わせた方がいいのかの研究
2歳から通った子は3歳から通った子よりも将来の言語発達に有利になっている。
保育所に通う時間よりも、保育所の質が高いということの方が、小学校入学後の学力や非認知能力にいい影響を及ぼす。
保育所の質を計るには、「保育所環境評価スケール①」などがよく使われる。
測定方法は、調査員を園に派遣→約500項目をチェック→アルゴリズムを使用して1~7店で点数化する。
東京都下の園の調査結果は、各園間の質の差よりも、同じ園内のクラス間の質の差のほうが大きかった。
クラス間の質の差は外からはなかなか見抜けない。

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